データの活用事例
富山湾プロジェクトについて (NPEC)
●事業の概要
環境モニタリング手法としてのリモートセンシングの有用性を明らかにするため、 富山湾をモデル海域として、既存のアルゴリズムの検証や新たなアルゴリズムの検証を行っています。 このため、衛星による観測データの収集及びシートルースデータを得るための調査を実施しています。 更には、富山湾における植物プランクトンの挙動と水質状況の関連について、 栄養塩濃度に注目し実態の把握を試みています。 これらの調査の結果を踏まえて、NOWPAP関連諸国(中国、韓国、ロシア) に環境モニタリング手法としてのリモートセンシングの有用性を示すことを目的としています。
当事業は、環境省委託のNOWPAP推進事業として平成15年度から実施し7年目を迎えます。 また当事業は、公益財団法人環日本海環境協力センター(NPEC)を中心に、 名古屋大学地球水循環研究センター、富山大学、富山高等専門学校が海洋調査を実施し、 さらに富山県農林水産総合技術センター水産研究所、富山県環境科学センター(TESC) 等とも連携を図りながら共同研究体制を構築しています。
●実施状況
(1) 調査概要
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- 海域モニタリング調査
- 期間と頻度: 平成17年4月~平成21年3月の毎月1回実施。
- 調査地点: 富山湾奥の9地点及び湾中央と外洋の2地点、合計11地点(図1)
- 調査項目と実施機関
- 海域モニタリング調査
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- 船舶: 富山高専「わかしお」及び富山水研漁業調査船「立山丸」
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[船上での現場調査] | pH、表面水温・塩分、水色、透明度、船上分光放射計による測定、 採水CTD観測〔富山大、富山高専、NPEC〕 |
[分析項目] | DO、クロロフィルa、SS〔TESC〕、形態別リン、ケイ酸、COD等〔富山大〕、 CDOM〔名古屋大〕、水温・塩分変動解析〔富山高専〕 |
図1 : 平成21年度調査点 |
- 衛星による環境モニタリング調査
- 「環日本海環境ウォッチシステム」による衛星データの取得(NOAA、MODIS)〔NPEC〕
- 衛星データの取得(SeaWiFS、MODIS等)、解析及び海色水中アルゴリズムの検証等〔名古屋大〕
(2) 結果概要
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- 海域モニタリング調査
- 富山湾におけるクロロフィルa濃度、懸濁物質(SS)、有色溶存有機物(CDOM)
及び透明度のデータを取得しました。これらのデータをもとに、衛星で得られたクロロフィルa濃度について誤差を生ずる要因について解析を行いました。 - 富山湾における栄養塩類の季節変動を明らかにしました。
- 海洋観測結果を解析し、富山湾の海水温度及び塩分濃度の季節変動特性を明らかにしました。
- 富山湾におけるクロロフィルa濃度、懸濁物質(SS)、有色溶存有機物(CDOM)
- 海域モニタリング調査
- 衛星による環境モニタリング調査
- 衛星リモートセンシングデータを利用して富栄養化をモニタリングすることの有効性と限界を明らかにするために、富山湾をモデル海域として、衛星のクロロフィルa濃度と現場で測定されたクロロフィルa濃度との関係について検討しました。
- 衛星値と現場値の対応をみるマッチアップ解析では、2004年5月から2010年1月までに観測された現場地点数453のうちTERRAは71地点、AQUAは85地点のデータが得られました。
- 富山湾プロジェクトの成果を踏まえ、NOWPAP CEARAC (2005)Eutrophication monitoring guidelines by remote sensing for the NOWPAP region及びNOWPAP CEARAC (2009) Procedures for assessment of eutrophication status including evaluation of land-based sources of nutrients for the NOWPAP regionを作成しました。今後、NOWPAP各国における活用が期待されています。
より詳しい情報は、下の報告書をご覧ください。