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千葉 元 教授インタビュー
千葉元教授Photo 千葉 元 教授
富山高等専門学校 商船学科 所属
<主な研究テーマ>
現場観測データによる富山湾の水塊構造の把握

「若潮丸」のCTD装置を点検する千葉教授

Q 千葉元研究室の研究内容(富山湾の観測)について教えてください。
Q 研究室では、毎月、富山高等専門学校の観測船「若潮丸」を使って富山湾のCTD観測を行い、 海水の塩分、水温、圧力(深度)などを定期的に計測しています。 計測したデータは、富山湾全体の表層から深層までの海水温や塩分の鉛直分布、季節変動特性、 対馬暖流の流れなどの解析に使用され、漁業振興、船舶航行、災害防止などに役立てたいと思います。

Q 衛星データの利用法について教えてください。
Q CTD観測ではある1点のデータしか取れませんが、 それをいかに面の情報として展開するかが課題です。 CTD観測では水深に対する鉛直方向のデータを取れるというメリットもありますが、 どうしてもあくまである点のデータになります。 反面、衛星データは海の表面の情報を広範囲に取得できますので、 CTD観測で得られた情報を補完するというような使い方をしています。 逆に、衛星データは鉛直方向のデータが取得できませんので、CTD観測によって得られた情報と比較しています。

風向風速レーダーが設置された富山高等専門学校屋上からは富山湾が一望できる

Q 将来の衛星データへの期待についてお聞かせください。
Q 例えば、沿岸の10kmのところの同じ定点で透明度と水色の調査を観測航海で実施していますが、 毎回毎回結果が異なります。 その原因は河川水の流入と拡散だと想定されますが、衛星データから、 その原因がすぐに判別ができると非常に有効です。そういう意味で塩分のデータがすぐとれるようになるといいですね。

深海潜水調査船支援母船「よこすか」にて、「しんかい6500」による北海道西方海域の潜水調査前
平成20年6月
学生さんインタビュー
Sugie Photo 杉江実宝さん
富山高等専門学校 海事システム工学専攻 2年
千葉元研究室所属
Q 千葉元研究室に入ったきっかけについて教えてください。
Q 4年生のときは海難事故の研究を行うゼミに所属し、 事故要因の調査等の研究を行っていました。5年生の卒業研究に入るとき、 これまでの授業の中で一番興味の高かった海洋気象に関する研究を行いたいと考え、千葉元先生の研究室に入りました。

Q 現在の研究テーマについて教えてください。
Q 気象の中でも富山湾の研究をしています。 富山湾は河川水の影響を受けた沿岸表層水、その下に流れる対馬暖流水、 さらにその下に分布する日本海固有水の三層構造を持っています。 この他に類をみない複雑な構造が興味深いと感じ、富山湾の研究を始めました。 衛星データは沿岸表層水への河川水の影響度合いを見るために使用しています。

Q 将来の進路や衛星データへの期待についてお聞かせください。
Q 東京・名古屋・大阪湾など船の交通が多い港の管制塔で、 航行管制を行うオペレーターとして仕事をすることが決まっています。 外国からやってくる船と英語でコミュニケーションをすることになるので、 これから勉強しようと思っています。 今後はリアルタイムに気象情報を読み取って判断していく必要がありますので、 現在の研究も仕事に生きてくると思います。
(インタビュー日: 2012年3月27日)