プロダクトユーザーズガイド

1. はじめに

1.1 適用範囲及び本文書の内容

このドキュメントはNPECのウェブサイトにある「環日本海海洋環境ウォッチ」ホームページが提供するデータ利用者向けの説明書です。データが示している海洋環境情報を理解するため、データの時空間的な対象範囲やパラメータ、フォーマット、処理方法等の詳細について解説しています。

1.2 略語一覧

ADEOS Advanced Earth Observing Satellite
AVHRR 改良型高分解能放射計センサ(AVHRR: Advanced Very High-Resolution Radiometer Pathfinder)
CDOM Coloured Dissolved Organic Matter
CEARAC Special Monitoring & Coastal Environmental Assessment Regional Activity Centre
CHL Sea Surface Chlorophyll-a
DAAC Distributed Active Archive Centre
DS Data Search
ESA European Space Agency
GCOM-C 気候変動観測衛星ミッション(GCOM-C: Global Change Observation Mission-Climate) 「しきさい」
JAXA Japan Aerospace Exploration Agency
L2 Level 2 data products
L3 Level 3 data products
L4 Level 4 data products
MERIS ヨーロッパ宇宙機関」「ESA」が打ち上げた海色センサ「中分解能イメージングスペクトロメータMedium Resolution Imaging Spectrometer(MERIS)」
MODIS-Aqua 衛星Aquaに搭載されている海色センサである中分解能撮像分光放射計「Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer instrument on Aqua (MODIS-Aqua)」
NASA National Aeronautics and Space Administration (USA)
NASDA National Space Development Agency (Japan)
netCDF Network Common Data Format
NLW Normalised water Leaving Radiance
NMEW Marine Environmental Watch of the of the Northwest Pacific Region
NOAA National Oceanic and Atmospheric Administration (USA)
NOWPAP Northwest Pacific Action Plan
NPEC Northwest Pacific Region Environmental Cooperation Center
NW Northwest Pacific Region
OC Ocean Colour
OCTS JAXA「旧NASDA」が打ち上げたADEOSに搭載された「海色海温走査放射計Ocean Colour and Temperature Scanner(OCTS)」
PNG Portable Network Graphics
Rrs Remote Sensing Reflectance
SC Sea Calendar
SeaWiFS NASAが1997年に打ち上げた海色センサSea-Viewing Wide Field-of-View Sensor (SeaWiFS)
SGLI/GCOM-C Second generation GLobal Imager aboard the Global Change Observation Mission on GCOM-C
SST Sea Surface Temperature
TSM total Suspended Matter
VIIRS-SNPP スオミ衛星NPPに搭載された可視近赤外放射計群センサVisible and Infrared Imager/Radiometer Suite-Suomi National Polar-orbiting Partnership(VIIRS-SNPP)でMODIS-Aの後続センサ
YOC Yellow Sea Large Marine Ecosystem’s project on Ocean Color

1.3 データプロダクトについて

1.3.1 地理的範囲

環日本海海洋環境ウォッチが入手・処理し、提供するデータ(データプロダクト)の地理的対象範囲は東経117-143度、北緯29-49度です。


図 1. 環日本海海洋環境ウォッチシステムが提供するクロロフィルa濃度データプロダクトのサンプル(2006年のMODIS-Aquaによる年間合成画像)。

1.3.2 物理量と衛星センサ

環日本海海洋環境ウォッチは、北西太平洋地域海行動計画「NOWPAP」の推進を目的とし、人工衛星に搭載された地球観測センサが得た海洋環境の情報を提供する地域データアーカイブセンター(DAAC)の役割を担っています。

利用可能な物理量は宇宙機関が提供する標準的なアルゴリズムで処理された海表面クロロフィル濃度値(CHL)と黄海大規模生態系プロジェクトの海色アルゴリズム(YOCアルゴリズム)で処理されたCHLがブレンドされた値、全懸濁物質(TSM)、海面温度(SST)です。(詳しくは第3章で説明します。) 以下の表1に、NOWPAP海洋環境ウォッチが取得し処理しているデータについて説明します。

表1.NPECが入手している物理量とセンサ一覧(物理量、センサ名、運用期間、宇宙機関)

物理量 センサ名 運用期間
(年-月-日)
宇宙機関
CHL (クロロフィルa 濃度) OCTS 1996-10-31 to 1997-06-29 JAXA(旧NASDA)
SeaWiFS 1997-09-04 to 2010-12-11 NASA
MERIS 2002-03-21 to 2012-05-09 ESA
CHL & SST (面水温) MODIS-Aqua 2002-07-04 to 現在 NASA
VIIRS-SNPP 2012-01-02 to 現在 NASA/NOAA
CHL, CDOM (有色溶存有機物), TSM (全懸濁物質)、& SST SGLI 2017-12-23 to 現在 JAXA
SST AVHRR Pathfinder 1985-08-25 to 現在 NOAA
1.3.3 物理量と活用事例

a) クロロフィルa濃度(CHL)
1978年、最初の海色センサであるCoastal Zone Colour Scanner (CZCS)の運用と共にクロロフィルの衛星による観測が始まりました(O’Reilly and Werdell, 2019)。表1では現在も使用している後続センサも合わせて紹介しています。クロロフィルは生物パラメータとして広く利用されているものの1つで、植物プランクトンバイオマスの代わりとされることもあります。植物プランクトンは海域食物連鎖の下位に位置した独立栄養生物で、基礎生産や水中の酸素発生システムにおいて重要な役割を果たします。植物プランクトンの多くは光が届く表層で浮遊しています。

衛星クロロフィル値(CHL)は基礎生産(Chavez et al., 2010; Yamada et al., 2005)や生物ポンプ(Omand et al., 2015; Thomsen et al., 2017、植物プランクトンの季節変動と漁業活動との関係(Kodama et al., 2018; Platt et al., 2003)、海域の物理的・生物学的相互作用(Maúre et al., 2018, 2017; McGillicuddy, 2016)、気候変動(Cianca et al., 2012; Racault et al., 2012, 2017)、水質評価(Terauchi et al., 2018, 2014; Yang et al., 2018)、海域の観測等、多くの調査研究に利用されています。NPECでは、衛星クロロフィル値を用いて、NOWPAP沿岸域の富栄養化評価に取り組んでいます。気候変動が注目される中、クロロフィル値は海洋環境の理解を深めるために重要なパラメータと言えます。

b) 有色溶存有機物 (CDOM)
有色溶存有機物(CDOM)は、気候変動観測衛星「しきさい」に搭載のSGLIセンサからのデータを使い、412nmの波長による海面の溶存有機物の光吸収係数で推定値を表すことができます(Smyth et al., 2006)。CDOMは海域の生物地球化学的プロセスや生態系力学を理解するために必要不可欠で、水質評価の指標の1つとなっています(Kutser et al., 2005)。CDOMは光を吸収するため、基礎生産の妨げになります。また短波長の方がより光を吸収します(Yang et al., 2018)。海域のCDOMの主な発生源として、河川経由で流入する枯れた陸域の植物、沿岸域における下水の流入あることから、CDOMは陸域での人間活動が沿岸域に与える影響を調査研究する際の重要なパラメータになっています(Bai et al., 2013)。

c) 全懸濁物質 (TSM)
全懸濁物質(TSM)も「しきさい」搭載のSGLIセンサによるデータを用いて推定します。TSM推定値は海面に浮遊するプランクトンや土等の有機・無機物の単位面積当たりの乾燥重量で表すことができます(Toratani et al., 2012)。TSMは土壌流出、河川水に含まれるもの、海底の堆積物や植物プランクトンが撹拌されたもので、重要な水質指標の1つとなっています(Yang et al., 2018)。TSM量が多いと海洋生物にとって必要な水質が低下する、航路の妨げになる(Wood, 2014)、洪水の危険性が増す等の問題が生じます。そのため、水質観測で必要な指標となります。

d) 海表面水温 (SST)
海表面水温(SST)は海域の物理的プロセスや生物学的プロセスを決定づける重要な物理量です(Merlivat et al., 2015)。衛星観測では海面下1メートル以内のskin SSTといわれる温度で示され、ブイや現場観測による海面温度より0.1~0.2度低い数値になります(Casey and Cornillon, 1999)。SSTは、基礎生産や大気-海洋間の熱・運動量・気体フラックス等に関係する海洋と大気の相互作用や海洋力学を理解するには重要なパラメータです(Behrenfeld et al., 2006; Racault et al., 2017; Small et al., 2008; Tomita et al., 2019)。また、生態系アセスメント、気候変動の研究、漁業活動等多様な分野で利用されています。

1.3.4 データプロダクトの時空間分解能

NPECでは宇宙航空研究開発機構(JAXA)、アメリカ航空宇宙局(NASA)、アメリカ海洋大気庁(NOAA)、欧州宇宙機関(ESA)等からNOWPAP地域のデータを取得し処理しています(表1)。

表2.環日本海環境ウォッチシステムウェブサイトにあるデータプロダクトの時空分解能

2. データプロダクトフォーマット

2.1 概要

環日本海海洋環境ウォッチシステムが提供する画像データはレベル3及びレベル4です。レベル3とレベル4の違いは第3章で説明します。環日本海海洋環境ウォッチシステムが提供する物理量を格納したデータはnetCDF4形式、画像はPNG形式となっています。PNG画像は、サムネイル(縮小画像)とフルサイズ画像で入手することできます。netCDFはバイナリフォーマットの一つであり、科学的なデータを共有するフォーマットとして広く用いられています。データフォーマット詳細は下のURLで公開されています。http://www.unidata.ucar.edu/software/netcdf)

各データプロダクトは一つのnetCDFファイルに保存されていますが、これらにはdimensions, variables, variable attributes, global attributes等のデータの属性情報が含まれます(詳細は第5章にて解説します)。月、年合成データにはvalid_pixel_countという合成処理に使われた有効データ数を示す情報が付加されます。

2.1.1 ファイル形式と命名規則

環日本海海洋環境ウォッチのファイルの命名規則は以下のとおりです。
日平均のファイル:iyyyymmdd_vvv_sba_tc.ext
月平均のファイル:iyyyymm_vvv_sba_tc.ext
年平均のファイル:iyyyy_vvv_sba_tc.ext

ファイル名の最初のiはセンサのイニシャルを表します。OCTSはO、SeaWiFSはS、MERISはM、MODIS-AquaはA、VIIRSはV、AVHRR-PathfinderはP、SGLIはGSです。現在、OLCIのデータはありませんが、利用可能になれば、OCTSと区別したイニシャルをつけていきます。ブレンドされたクロロフィルa濃度データのイニシャルはYです。

yyyymmddの部分は、年 (yyyy)、月 (mm) 、日 (dd)を表します。vvvはデータ変数で、CHLはクロロフィルa濃度値、SSTは海表面水温、CDOMは有色溶存有機物、TSMは全懸濁物質を意味します。

sbaはサブエリアを意味します。表3にNOWPAP海域にあるサブエリアのイニシャルをまとめています。tcは合成画像の期間(日/月/年)です。

extはファイル拡張子(ncはnet CDF、pngはPNG)を意味します。

表3.データ処理を施したサブエリアの一覧

サブエリアの略語 サブエリア名
NW 北西太平洋(NOWPAP)海域
AS 有明海
JB チンへ湾
KS 九州北部海域-玄海
PB ピーター大帝湾
SP 山東半島北部
SS 朝鮮半島南部
TB 富山湾
YR 揚子江流域

3. データ処理

人工衛星による観測データには、0から始まる様々のレベルがあります。各レベルについての詳細は、宇宙機関毎に定義されており、NASAでは以下のURLに示すとおり(https://oceancolor.gsfc.nasa.gov/products/)になっています。NPECでは、宇宙機関から主にレベル2データを入手し、更に高次のデータ処理を行い、レベル3データを作成し、NOWPAP海洋環境ウォッチシステムホームページで表1に示す複数のデータプロダクトを提供しています。レベル2のデータはJAXA、NASA、ESA等の宇宙機関から取得しています。MERISのレベル2データはNASAのOcean Color Websiteを通じて入手しています。SSTは、NOAAからレベル3データを入手しています。これらのデータの処理手順の詳細について説明する前に、レベル3とレベル4データの詳細について次のセクションにて解説します。

a) レベル3プロダクト
レベル3のデータは、予め時間及び地理的範囲を設定して、物理量を地図上に投影して表示しているデータです。レベル2データが衛星に搭載したセンサが地表面を観測する角度がそのまま画像に歪みとして表れるのに対して、レベル3のデータは可能な限り空間分解能を保ち、地図上に幾何補正し、投影したデータです。

b) レベル4プロダクト
NASAのウェブサイトでは、レベル4のデータはそれ以下のレベルのデータを解析して作成したデータや或いはモデルが出力するデータとされています(例えば複数の計測値に基づく変動を表したもの等が含まれます)。ウォッチシステムが提供するブレンドされたクロロフィルa濃度データは、このレベル4データに該当し、観測期間が異なる海色センサデータについて統計解析を行い、さらに対象地域に現場観測データに経験的に合わせてチューニングされたアルゴリズム(Siswantoら, 2011)により処理し、クロロフィルa濃度として処理し提供しています。

3.1 海色データの選別及びマッピング

前述のとおり、環日本海海洋環境ウォッチシステムのデータ処理はレベル2データから始まります(図2)。レベル2データの処理では、複数の衛星の観測パスを関心領域単位でまとめながら、品質情報を基に選別しています。このようにして選別されたデータは、共通の座標上に地図投影され、日合成画像として作成されます(図2)。


図2. データ処理フローの概要

レベル2データの選別は、レベル2データに含まれるl2_flagsという各ピクセルに含まれる物理量の品質を示す情報によって実施されています。このl2_flagsはJAXAのデータの場合は16ビット、NASAのデータの場合は32ビットの配列のデータとなっています。これらのフラグには、人工衛星のセンサが地表面を観測する際の気象条件やデータがある場所が陸域である可能性等の物理量の推定に問題となりうるデータの品質情報が含まれており、レベル3データを作成する際のデータの選別に使用されます。フラグ情報は、2進法で示される”0”と”1”の情報を基に切り替えることができ、NASAでは32ビット配列のフラグを切り替えるためのツールを準備しています(https://oceancolor.gsfc.nasa.gov/atbd/ocl2flags/)。

表4.NASA Ocean Color Webから入手した海色センサのレベル3データ作成時の選別基準。富山湾のデータセットは、寺内ら(2014)を参照し、フラグ名の右肩にTBがつくもののみをデータ選別に使用している。

ビット フラグ名 フラグの説明 データ選別に用いるフラグ
00 ATMFAILTB* 大気補正失敗
01 LANDTB 陸域のピクセル
02 PRODWARN 一つもしくは複数の物理量推定アルゴリズムに警告あり
03 HIGLINT 鏡面反射
04 HILTTB 極端に高い、または飽和した放射輝度の検知
05 HISATZENTB 閾値を超えた天頂角のセンサビュー
06 COASTZ 浅い海域のピクセル
07 Spare
08 STRAYLIGHT 迷光の可能性
09 CLDICETB 雲または海氷の可能性
10 COCCOLITH 円石藻の検知
11 TURBIDW 濁水の検出
12 HISOLZEN 閾値を超えた太陽点需要
13 spare
14 LOWLW 極端に低い海面射出輝度
15 CHLFAIL クロロフィルアルゴリズムの失敗
16 NAVWARN ナビゲーション品質の不良
17 ABSAER 吸収性エアロゾル
18 spare
19 MAXAERITER 近赤外光反復になるような最大反復
20 MODGLINT 中程度の鏡面反射
21 CHLWARN クロロフィルa濃度の限界値
22 ATMWARN 大気補正の不良
23 spare
24 SEAICE 海氷の可能性
25 NAVFAIL ナビゲーション不良
26 FILTER ユーザー定義によるフィルターが検出するもの、もしくはスムージングフィルターが効かないようなデータ
27 spare
28 BOWTIEDEL オフナディア角、もしくはピクセルの重複(VIIRSのみ)
29 HIPOL 偏光の検出
30 PRODFAIL 物理量の不良
31 spare

表5. JAXA G-portal提供されるからのSGLI / GCOM-C海色センサレベル2データのレベル2フラグの一覧及びレベル3データ作成時の選別基準。富山湾のデータセットは、寺内ら(2014)を参照し、フラグ名の右肩にTBがつくもののみをデータ選別に使用している。

ビット フラグ名 フラグの説明 データ選別に用いるフラグ
00 DATAMISSTB 観測データなし
01 LANDTB 陸域のピクセル
02 ATMFAILTB 大気補正失敗
03 CLDICETB 雲もしくは氷(高い反射)
04 CLDAFFCTDTB 雲による影響あり(雲の近く、もしくは薄雲、ピクセルの一部に雲がある場合)
05 STRAYLIGHT 迷光の可能性あり
06 HIGLINTTB 鏡面反射と思われる
07 MODGLINT 中程度の鏡面反射
08 HISOLZTB 閾値を超える太陽天頂角
09 HITAUA 閾値を超えるエアロゾルの光学的厚み
10 NEGNLW マイナスの放射輝度値
11 TURBIDW 濁ったケース2の水
12 SHALLOW 閾値を超えた太陽天頂角
13 ITERFAILCDOM CDOMアルゴリズムの反復不良 ✔(CDOMのみ)
14 CHLWARN 閾値を超えるクロロフィルa濃度
15 spare

STデータ選別は別の手順で実施されます。これはSSTデータのレベルがセンサによって異なるため(MODIS-Aqua, VIIRS-SNPP, SGLI/GCOM-Cはレベル2データ、AVHRR_Pathfinderはレベル3) で、環日本海海洋環境ウォッチシステムではAVHRRのデータは品質の低い情報だけを除去する処理を実施しています (図2、第3章3.2参照)。
海色センサのレベル2データを基に、日平均のクロロフィルa、CDOM,TSM,SST濃度データを作成しています。表6に示すリモートセンシング反射率(Rrs)のデータは、宇宙機関から提供される標準的なアルゴリズムと渤海、黄海、東シナ海におけるクロロフィルa濃度の過大推定を軽減するよう地域用にチューニングされたアルゴリズムとを組み合わせてブレンドされたクロロロフィルa濃度を作成するために使用されています(後述セクション3.3 YOC参照)。

表6.MEWの各センサのリモートセンシング反射率(Rrs)のバンド一覧

Sensor/センサ Rrs bands (nm) /リモートセンシング反射率のバンド (nm)
SeaWiFS 412, 443, 490, 555
MERIS 413, 443, 490, 560
MODIS-Aqua 412, 443, 488, 547

MODIS-Aqua、VIIRS-SNPP、SGLI/GCOM-C等の海色センサは現在も運用が続いています。これら観測画像は、環日本海海洋環境ウォッチシステム上で更新されるタイミングは、観測から1〜2日のタイムラグがあります。つまり、最新のデータは、前日までのデータということなります。
選別され作成した日平均画像はnetCDFとPNG形式(Rrsは除く)で保存され、表3に示すサブエリア毎にデータプロダクトを作成し保存されています。

3.2 海面温度データの選別

環日本海海洋環境ウォッチシステムでは、赤外線放射から得られる情報を基に複数の海表面センサのデータを提供しています。SGLI/GCOM-Cは250m、VIIRS-SNPPは750m、MODIS-Aquaは1 km、AVHRR-Pathfinderのデータは4kmの空間解像度です。AVHRRパスファインダーの海表面水温(SST)データは長期間に亘りますが、人工衛星による観測からデータが提供されるまでの間に約3ヶ月のタイムラグがあります。

MODIS-Aquaと VIIRS-SNPPのSSTデータはこれらのセンサのレベル2データに格納されているSSTデータの品質情報である「sst_qual」を用いて選別しています。MODIS-Aquaと VIIRS-SNPPの「sst_qaul」は、0-4で示す5段階の品質情報が付与されており、0が最高品質、1が優良、2は怪しい、3は不良、4は処理できないとなっており、このうち0と1の品質情報があるものだけを処理しています(0だけにすると極端に有効データ数が少なくなるためです)。

AVHRR-PathfinderのSSTデータは地図投影済みのレベル3データ(L3C)を入手し、0〜5の6段階の品質情報を参考にしながら無効なデータを除去しています。MODIS-Aquaと VIIRS-SNPPのSSTデータも6段階で示される品質情報を基に、許容できる精度以上のデータだけ有効なデータとして選別し処理しています。

GCOM-CのSSTデータは、表7に示す品質情報(l2_flags)を基に、SSTデータの選別をしています。

表7.JAXA G-portalから提供されるSGLI/GCOM-CのSSTデータのレベル2フラグの一覧及びレベル3データ作成時のデータ選別基準。

ビット フラグ名 フラグの説明 データ選別に用いるフラグ
00 No data データなし
01 LAND 陸域のピクセル
02 REJECTED_BY_QC 品質管理による除去
03 Retrieval error データ取得できず
04 No data (TIR1) データなし(TIR1)
05 No data (TIR2) データなし (TIR2)
06 Spare
07 Spare
08 0: nighttime or no visible data,
1: daytime
0: 夜間もしくはデータなし

1:昼間

09 Spare
10 Spare
11 Unknown (clear/cloudy) Unknown (clear/cloudy)
12 Cloudy 雲が多い
13 Acceptable (possibly cloudy) 許容範囲 (雲が少しかかっている)
14 Good 両方
15 Unreliable 0:陸地もしくは陸地に近い,
1: 信頼できる
✔ (“0”の時)

3.3 ブレンドクロロフィルデータセットについて

ブレンドされたクロロフィルデータセットは標準的なアルゴリズムとYOCアルゴリズムを組み合わせて作成されています。このデータセットはNOWPAP海域における長期的な海洋環境変動を監視するために用意されたセンサが混合されたデータセットです。YOCの名前はYellow Sea Large Marine Ecosystem’s project on Ocean Color(黄海大規模生態系における海色プロジェクト)に由来し、このアルゴリズムは、NOWPAP海域の西側、つまり渤海、黄海と東シナ海のクロロフィルa濃度の推定精度を向上するために使用されています。東側の海域では、標準的なアルゴリズムが使用されています。

3.3.1 YOCアルゴリズムについて

YOCアルゴリズムは有色溶存有機物や全懸濁物質が多い東シナ海を対象に、Siswanto ら(2011)によって開発されました。このアルゴリズムはTassan(Sinswantoら, 2011とTassan, 1994)のアルゴリズムに似ており、以下のように定義づけられます。

この数式はSeaWiFSのデータ処理バージョン5.1(R2005)のデータセットで開発されていますが、現在は2018処理バージョン(R2018)が主流です。そのため、数式(1)に示す係数は、Siswantoら(2011)のオリジナルをベースにYamaguchi et al(2013)が更新したものを使用しています。

3.3.2 標準アルゴリズムについて

標準的なクロロフィルa濃度推定アルゴリズムは、以下に示すHuら(2012)とO’Reillyら(1998)の2つの経験的なアルゴリズムの組み合わせになります。Huら(2012)のアルゴリズムはColour Index法と呼ばれ、赤、緑、青の3つのバンドによるリモートセンシング反射率を用いて、下の (2)の数式で示されます。

一方、O’Reillyら(1998)のOCxアルゴリズムは、 (3)に示す多項式で定義され、センサ毎に定義されたリモートセンシング反射率の異なる波長帯の比と2020年4月現時点では表8に示す係数((Hu et al., 2012; Morel and Maritorena, 2001; O’Reilly et al., 1998)が用いられます。クロロフィルa濃度が0.15 mg m-3よりも低い値の時はCIアルゴリズムが使用され、0.15 mg m-3よりも高い場合はOCxアルゴリズムが採用され、その間は重み平均による2つのアルゴリズムをブレンドしたものが用いられます。

表8.NASA標準クロロフィルa濃度推定アルゴリズムに用いられる係数の一覧。NASAが提供するクロロフィルa濃度は、これらの係数をベースに作成している(https://oceancolor.gsfc.nasa.gov/atbd/chlor_a/

センサ a0 a1 a2 a3 a4
SeaWiFS 443>490>510 555 0.3272 -2.9940 -2.7218 -1.2259 -0.5683
MERIS 443>490>510 560 0.3255 -2.7677 2.4409 -1.1288 -0.4990
MODIS-Aqua 443>488 547 0.2424 -2.7423 1.8017 0.0015 -1.2280

YOCアルゴリズムもNASAの標準アルゴリズムと似たような考え方でYOCアルゴリズム(1)と (3)のNASA標準アルゴリズムの組み合わせで使用されます。ただしYOCアルゴリズムでは、アルゴリズムの切り替えに海面射出放射輝度の値を555 nm (nLw555, mW cm–2 µm–1 sr–1)が用いられ、懸濁海域と非懸濁海域のスイッチングを行います。非懸濁海域はnLw555 < 1.5 、懸濁海域は nLw555 > 2.5、その中間(1.5 ≤ nLw555 ≤ 2.5)では、重み平均による2つのアルゴリズムをブレンドしたものが用いられます(Yamaguchi et al. 2013)。YOCアルゴリズムにより算出されたクロロフィルa濃度を使った事例は(Siswanto et al., 2011; Terauchi et al., 2018; Yamaguchi et al., 2013)に詳しく解説されている。

3.4 時間合成

環日本海海洋環境ウォッチのデータには、日、月、年単位の平均画像があります。月平均は、日平均を基に、年平均は月平均を基に算出されています(図2)。次に、日平均画像のデータ処理の場合について説明します。月平均、年平均のnetCDF形式のファイルには、物理量とともに平均処理に用いられた有効データの数が格納されています。月平均、年平均の基になっている日平均データについては以降で解説います。

4. 操作手順

4.1 データアクセスツール

環日本海海洋環境ウォッチが提供するデータはデータ検索(https://ocean.nowpap3.go.jp/image_search/)、海のカレンダー(Sea Calendar, https://ocean.nowpap3.go.jp/image_search/?latest)のいずれかの方法で検索することができます。データ検索や海のカレンダーはほぼ同等の機能ですが、海のカレンダーは自動的に直近の1ヶ月の画像が予め設定された情報により可視化されます(詳細は第4章4.1.1., 4.1.2.で後述します)。このサイトでは日、月、年単位の画像が検索・利用可能です。各データの空間解像度は元データに依存し、海色センサが1kmの空間解像度を観察するとき、環日本海海洋環境ウォッチもまた同じ1㎞の解像度の処理情報を提供します。ただし注意すべき点として、1㎞の空間解像度はほとんどセンサ直下の解像度であり、センサの視野角の端に行くにつれ解像度が低くなります。

4.1.1 データ検索インターフェイス

データ検索インターフェースを使って、センサ、データプロダクト、ファイル形式、サブエリア(図3にある黄色で囲んだ8ヵ所と環日本海地域)、合成画像の期間、可視化・ダウンロード時間(データの範囲)の指定ができます。日付単位で日合成を選択し、日付範囲にて年、月を選択すると特定の月の日合成画像をカレンダー形式で見ることができます。日付単位で、月・年合成が選択されている時は、一日合成が選択できなくなります。月合成・年合成を選択すると、選択されている年を中心にデータが存在していれば7年分の年平均、月平均データの表示ができます。例えば、2017年が選択されている時は、2014年から2020年の年平均、月平均データが表示されます。


図3.環日本海海洋環境ウォッチでのデータ検索の例

4.1.2 海のカレンダー

データ検索インターフェイスとは異なり、海のカレンダーでは定義済みの設定に基づき画像を可視化することが可能です。現時点(2020年4月)の初期設定では、MODIS-AquaセンサによるNOWPAP地域の直近の月の日平均クロロフィルa濃度の値をPNG形式で表示しています。図4は2020年4月の例ですが、選択した以外の月の画像はグレーで表示されます。
選択した以外の月がグレー表示されるのと同様に、選択したセンサにないデータプロダクトや観測期間もグレー表示されます。YOCは、異なる複数のセンサから統合して作成しているため、センサ種類に関係なく独立して選択することができます(第3章3.3参照)。


図4.図3と同じものを海のカレンダー(SC)で表示したもの

4.2 複数ファイルのダウンロード

前述の方法でデータのダウンロードが可能ですが、環日本海海洋環境ウォッチのホームページでは、大量にダウンロードする場合、現在FTP (File Transfer Protocol)等の方法が使えません。大量にダウンロードする場合はオープンソースの1つであるパイソンプログラミング言語 (https://www.python.org/)を利用してください。リクエスト(requests)モジュール(https://requests.readthedocs.io/en/master/)を利用する簡単なものをここでは紹介し、基本的なパイソン言語についての理解があるとの前提で、デモ用のサンプルコードを提供します。
図5の例は1998年から2005年までの環日本海地域の月平均クロロフィルa濃度のデータをダウンロードする場合です。この例のセンサはSeaWiFSです。この例と同様の手順で、サブエリアや期間を指定して必要なデータをダウンロードできます。

図5.パイソンリクエスト(request)モジュールを使って環日本海海洋環境ウォッチにあるデータプロダクトを大量ダウンロードする場合の例。
[1] 使うモジュールをインポートする。[2] ダウンロードに必要なパラメータを設定する。

図6. 大量ダウンロードのための関数の定義(図5の手順の続き)、手順[3]ではダウンロードする対象のファイル作成する関数を定義し、手順[4]では作成したファイルをダウンロードする関数を定義する。

図7 実際にデータをダウンロードする際のコード。データは、日、月、年単位でのダウンロードが可能。この手順では図6で定義した関数を読み出し、図5の手順[3]で設定したパラメータにてデータを現在作業中のディレクトリに保存される。データのダウンロード状況は画面下の進捗バーで確認できます。データのダウンロードが完了すると“done!”と表示される。このパイソンのスクリプトは、次のURLから無料で入手可能。
https://github.com/npec/NMEW.demos/blob/master/NMEW_bulk_download_demo.py

4.3 データの読み込み

netCDFライブラリにある方法(https://www.unidata.ucar.edu/software/netcdf/)またはnetCDFファイルの読み取りができる他のツール(WIM, https://www.wimsoft.com/等)を使ってデータの読み取りを行います。Net CDFはバイナリフォーマットの一つで、便利かつ標準的なものです。
SSTデータは整数値で保存されているので、以下の公式で物理値に戻します。

SST = sst * scale_factor + add_offset

scale_factorとadd_offsetはnetCDFのsstプロダクトから求めます。標準的なnetCDFライブラリでは、この公式を使って自動的にデータ変換ができません。またscale_factorとadd_offsetが変数の場合、_FiilValueやmissing_valueとしてデータがマスキングされてしまいます。CHL、CDOM、TSMは浮動小数点で保存されているので、変換する必要はありません。

4.4 データの可視化

環日本海海洋環境ウォッチのデータは全て一般的な経緯度線が入った地図上にマッピングされるので、ツールを使って簡単に可視化することができます。パイソンを使って可視化する例を紹介します。

NOWPAP地域全体の2020年4月からの月平均CHLデータを使います。データの表示にはnetCDF4、matpltlib、Basemapモジュールが必要です。Basemapはデータを地図上に投影したり沿岸線を描いたりするときに使用するものですが、これを使う場合と使わない場合の両方を説明します。

このコードサンプルでは、データの可視化について解析していきます。[1]〜[3]の手順では、netCDFライブラリを用いてデータセットを読み込み、可視化のための基本的なパラメータをセットしています(図8)。手順[4]ではmatplotlibモジュールのimshow機能モジュールを用いて画像を表示させます。一方手順[5]は、pcolormeshとBasemapを使って陸域、沿岸線、海域を示しています(図11、図12)。一般的に[4]では、はっきりとマスキングしない限り、海域におけるデータがないピクセル部分と陸域は区別ができません。しかし[5]ではBasemapを使って陸域と海域の色を変えることで2つの違いがわかりやすくなります。詳しくは以下のコードサンプルと各図を参考にしてください。

Basemap(https://basemaptutorial.readthedocs.io/en/latest/index.html)はパイソンを使って簡単に地図が描けるものですが、欠点もあります。Basemapの代用品としてCartopy (https://scitools.org.uk/cartopy/docs/latest/)もありますが、時空データの処理にはBasemapの方が有用です。

図8.パイソンmatplotlibモジュールを使って環日本海海洋環境ウォッチプロダクトを可視化するための工程を示したもの。
[1] モジュールをインポートする。 [2] 可視化に必要な基本パラメータを設定する。 [3] データ、時間、位置、ラベルを読み取る。

図9.環日本海海洋環境ウォッチプロダクト(CHL)を可視化するための手順(matplotlibモジュールのimshow機能を使ったもの)

図10.図9のコードサンプルに従って作成したクロロフィルa濃度画像

図11.環日本海海洋環境ウォッチプロダクト(CHL)を可視化するための手順(PcolormeshとBasemapモジュールを使ったもの)

図12 図11のコードサンプルに従って作成したクロロフィルa濃度画像

5. NetCDFファイルの構造

netCDFファイルの主な特徴として自己説明ができる点があります。下はnetCDFライブラリのncdump-h filename(入力するファイル名)を使い、A202004_CHL_NW_month.ncのファイル構造を出力したもの示します。

netcdf A202004_CHL_NW_month {
dimensions:

time = 1 ;
lat = 2219 ;
lon = 2250 ;

variables:

int time(time) ;

time:standard_name = “time” ;
time:long_name = “reference time of the monthly composite file” ;
time:axis = “T” ;
time:units = “seconds since 1981-01-01 00:00:00” ;
time:calendar = “gregorian” ;

int crs ;

crs:standard_name = “coordinate reference system” ;
crs:grid_mapping_name = “custom_latitude_longitude_grid” ;
crs:dx = 0.0115509f ;
crs:dy = -0.009010315f ;
crs:lat = “lat_max:dy:(lat_max-dy)+dy*lat_size” ;
crs:lon = “lon_min:dx:(lon_min-dx)+dx*lon_size” ;
crs:comment = “This variable only contains the description of the grid_mapping” ;

float lat(lat) ;

lat:standard_name = “latitude” ;
lat:long_name = “latitude” ;
lat:units = “degrees_north” ;
lat:grid_mapping = “crs” ;
lat:axis = “Y” ;
lat:valid_min = 29.01117f ;
lat:valid_max = 48.99549f ;

float lon(lon) ;

lon:standard_name = “longitude” ;
lon:long_name = “longitude” ;
lon:units = “degrees_east” ;
lon:grid_mapping = “crs” ;
lon:axis = “Y” ;
lon:valid_min = 117.0058f ;
lon:valid_max = 142.9894f ;

float chlor_a(time, lat, lon) ;

chlor_a:long_name = “Chlorophyll Concentration, OCI Algorithm” ;
chlor_a:standard_name = “mass_concentration_of_chlorophyll_in_sea_water” ;
chlor_a:units = “mg m^-3” ;
chlor_a:_FillValue = -32767.f ;
chlor_a:grid_mapping = “crs” ;
chlor_a:valid_min = 0.09948392f ;
chlor_a:valid_max = 97.58238f ;
chlor_a:reference = “Hu, C., Lee Z., and Franz, B.A. (2012). Chlorophyll-a algorithms for oligotrophic oceans: A novel approach based on three-band reflectance difference, J. Geophys. Res., 117, C01011, doi:10.1029/2011JC007395.” ;
short valid_pixel_count(time, lat, lon) ;
valid_pixel_count:standard_name = “count of valid pixels” ;
valid_pixel_count:long_name = “number of valid data in each pixel for the  composite period” ;
valid_pixel_count:units = “count” ;
valid_pixel_count:_FillValue = -32767s ;
valid_pixel_count:valid_min = 1s ;
valid_pixel_count:valid_max = 16s ;

}

// global attributes:

:product_name = “A202004_CHL_NW_month.nc” ;
:title = “MODISA Level-2 chlor_a screened for bad pixels” ;
:platform = “Aqua” ;
:instrument = “MODIS” ;
:processing_level = “L3” ;
:temporal_range = “month (30-days)” ;
:time_coverage_start = “20200401T000000Z” ;
:time_coverage_end = “20200430T000000Z” ;
:processing_version = “2018.1QLP” ;
:input_files = “A20200401_CHL_NW_day.nc; A20200402_CHL_NW_day.nc; A20200417_CHL_NW_day.nc; A20200422_CHL_NW_day.nc; A20200424_CHL_NW_day.nc; A20200418_CHL_NW_day.nc; A20200419_CHL_NW_day.nc; A20200420_CHL_NW_day.nc; A20200421_CHL_NW_day.nc; A20200423_CHL_NW_day.nc; A20200403_CHL_NW_day.nc; A20200425_CHL_NW_day.nc; A20200404_CHL_NW_day.nc; A20200426_CHL_NW_day.nc; A20200427_CHL_NW_day.nc; A20200405_CHL_NW_day.nc; A20200428_CHL_NW_day.nc; A20200406_CHL_NW_day.nc; A20200429_CHL_NW_day.nc; A20200407_CHL_NW_day.nc; A20200408_CHL_NW_day.nc; A20200430_CHL_NW_day.nc; A20200409_CHL_NW_day.nc; A20200410_CHL_NW_day.nc; A20200411_CHL_NW_day.nc; A20200412_CHL_NW_day.nc; A20200413_CHL_NW_day.nc; A20200414_CHL_NW_day.nc; A20200415_CHL_NW_day.nc; A20200416_CHL_NW_day.nc” ;
:l2_flags = “ATMFAIL, LAND, HIGLINT, HILT, HISATZEN, STRAYLIGHT, CLDICE, COCCOLITH, HISOLZEN, LOWLW, CHLFAIL, NAVWARN, ABSAER, MAXAERITER, ATMWARN, NAVFAIL” ;
:spatial_resolution = “1.0 km” ;
:latitude_step = 0.009010315f ;
:longitude_step = 0.0115509f ;
:geospatial_lon_min = 117LL ;
:geospatial_lon_max = 143LL ;
:geospatial_lat_min = 29LL ;
:geospatial_lat_max = 49LL ;
:date_created = “Sat May 2 10:26:17 2020” ;
:subarea = “nowpap_sea_area” ;
:project = “Northwest Pacific Action Plan” ;
:creator_name = “UNEP > NOWPAP > CEARAC” ;
:creator_url = “http://cearac.nowpap.org” ;
:creator_email = “webmaster@cearac.nowpap.org” ;
:publisher_name = “Marine Environmental Protection of Northwest Pacific Region” ;
:publisher_url = “https://ocean.nowpap3.go.jp/” ;

6. データ利用上のご注意

環日本海海洋環境ウォッチホームページからダウンロードしたデータを使用する場合、データ作成・提供元として(公財)環日本海環境協力センター(NPEC, http://www.npec.or.jp/en/)の名称を入れてください。お問い合わせは terauchi@npec.or.jp までお願いします。
使用時の例
「クロロフィル-aと海面温度のデータは、環境省の支援の下、環日本海環境協力センター(NPEC、http://www.npec.or.jp/en/)が運営している環日本海海洋環境ウォッチ(https://ocean.nowpap3.go.jp/)が提供しているものを使用した。」

7. 参考文献

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