海洋環境モニタリングにご利用の方へ


海の環境調査に衛星リモートセンシング・データを使うわけ
 現在衛星リモートセンシングによって海表面の水温や、海中の植物プランクトンの量を表すクロロフィルa濃度などを調べることが出来ます。
植物プランクトンは、海の生物生産の基礎となる生き物ですが、海が富栄養化する、つまり汚れるとその量が異常に多くなってしまい、赤潮などをひきおこします。 衛星リモートセンシングを使ってクロロフィルa濃度を調べるということは、植物プランクトンの量をモニタリングすることを通じて、海の汚濁状況に目を光らせるということなのです。

衛星リモートセンシング・データを使うことの利点
 衛星リモートセンシングデータを使用する最大の利点は、非常に広い範囲を(広域性)しかも一度に(同時性)調べることが出来ることです。
衛星は、上空の宇宙空間を高速(秒速7km)で飛行しているので、幅2,000km以上の領域を一度に写真に収めることができます。

また、自動的に毎日同じ地域の観測を行うことができ、観測の反復性が高いことももう一つの利点です。船で毎日観測をすることは困難で、ましてや数百km四方の海域をほぼ同時に観測することは全く不可能です。このようなことから、衛星リモートセンシングデータは海洋環境の季節的、経年的変動を捉えるのに適しているといえます。

衛星リモートセンシング・データを使う場合の不利な点

 衛星データは、上空からの測定なので不利な点として

  1. 現地での測定値に比べ精度が低いこと
  2. リモートセンシングではほとんどの場合、海水温は表面しか測定できないこと
  3. 可視光、赤外線などの観測では、対象エリア上空に雲があると観測が不可能となること

があげられます。また、特に沿岸海域では陸地から流出した泥水などの影響で、クロロフィルa濃度観測値を不正確なものにしてしまうことがあります。

観測手段 リモートセンシングデータ シートルース
利点
  • 現場へ出なくても良い。
  • 広域のクロロフィルa濃度を瞬時に平面的に捉えることが可能。
  • 研究目的であればデータを無償で入手可能なことが多い。
  • 実測値が取れる。
  • 鉛直方向のデータ取得が可能である。
不利な点
  • 一部の沿岸域では、泥、濁りなどの植物プランクトン以外の物質が多いために、クロロフィルaの推定が困難な場合がある。
  • 現場に出る必要があり、船、人等を確保する必要がある。
  • クロロフィルaデータ取得には、専門の分析技術が必要となる。
  • ある1点でのデータとなってしまう。